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モデル稲沢朋子さん 子宮頸がん体験談

【vol.4】「感染するリスク、感染後の心理的リスクも知っている私が伝えたいこと」

STORY

モデル稲沢朋子さん 子宮頸がん体験談【vol.4】|「感染するリスク、感染後の心理的リスクも知っている私が伝えたいこと」 モデル稲沢朋子さん 子宮頸がん体験談【vol.4】|「感染するリスク、感染後の心理的リスクも知っている私が伝えたいこと」


経過観察後、ガンから卒業して今思うこと

1カ月の入院生活を終え、退院後の最初の1カ月は2週間に1回くらいの通院でした。そこから、3カ月に1回、半年に1回というように、徐々に間隔を延ばしながら、定期的に通院しました。飲み薬などの化学療法は一切せずに、定期検査で経過観察します。

稲沢朋子さん | 子宮頸がん体験談語り

子宮頸がんの原因とされているヒトパピローマウイルスは性経験があれば、一度は感染すると言われているウイルスで*¹、通常200種類以上あるのですが、その中で子宮頸がんになるリスクが高いものは15種類*²、特にがんの進行が早いのが2種類あるそうです*³。感染しても免疫力で排出できる人もいるので、ウイルスに感染したからといって必ずしも全員ががんになるわけではなく、がんになる人、ならない人がいる中で、私はがんになってしまいました。退院後の日常生活で気をつけることというのも特になく、食生活や生活習慣などで再発を防げるわけではないので、定期健診で、異形成*⁴(子宮頸部上皮内腫瘍)などのチェックをしていくことが私にできることなんですよね。

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HPVに感染してしまうと、絶対に子宮頸がんにかかってしまうの? >

〈参考文献〉
*¹ Chesson HW et al. Sex Transm Dis. 2014; 41: 660-664.
*² Choi YJ et al. J Gynecol Oncol. 2016; 27: e21.
*³ Khan MJ et al. J Natl Cancer Inst. 2005; 97: 1072-1079.
*⁴ 異形成…細胞が「現状ではがんとは言えないががんに進行する確率が高い状態(前がん病変)」や「悪性・良性の境界にある状態(境界悪性)」であることを指します。病変の程度により、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成に分類されます。(国立がん研究センター がん情報サービス 用語集)

稲沢朋子さん | 子宮頸がん体験談語り

中見出し:装飾  通院10年目でやっと聞けた「卒業」のひと言

半年に1回、検診に行く度に、毎回とても不安になります。「また数値が上がっていたらどうしよう。」と。先生の表情を伺ったり、先生の「ん?」っていう反応に敏感になったり。

「病理に回す」と言われてはドキドキしますし、検査にひっかかっても、半年後になくなっていてホッとしたり。そのまた半年後に「今回、また悪化していたらどうしよう……。」とその都度、一喜一憂を繰り返し、最終的に先生から「卒業」という言葉をいただけるまで、通院し続けます。卒業は人それぞれタイミングが違うのですが、私の場合、10年目でやっと聞きたかった「卒業」という一言をいただけました。そこで長い間の不安から解放され、初めて安心できました。

稲沢朋子さん | 子宮頸がん体験談語り

でも、今年、婦人科の検診でひっかかったんです。青ざめて、主治医の先生がいる病院に駆け込みました。病院で改めて検査しましたが、特に問題ないという結果だったので安心できました。何かあったときに信頼できる先生がいるというのは、気持ち的に安心します。駆け込み寺のような。

そのような信頼できる先生に出会えたのは運が良いですよね。「私、持ってるな」って自分でも思います(笑)。

娘と対話することから始まる子宮頸がん予防

娘が中学生になった時に、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の案内が届きました。当時、海外ではすでに推奨されていたワクチンでしたが、日本ではまだHPVワクチンの定期接種が始まったばかりで何もかもが不明でした。

稲沢朋子さん | 子宮頸がん体験談語り

娘のこととなると余計に、判断に迷いが生じますよね。ワクチンを打ったから絶対に安心というわけでもないですし、どんなワクチンにも副反応のリスクはありますしね。いつか、もし娘が子宮頸がんになったら?でも副反応も心配だし…、でも、ワクチンと検診で予防が出来るのであれば?と、気持ちは天秤のように揺れ動きました。

正直、不安と分からないことばかりだったので、自分だけでは決断できず、私がお世話になった主治医の先生に相談しに行ったんです。

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中見出し:装飾 「子宮頸がんは、女性なら誰でもかかる可能性がある」

先生の立場上、娘のワクチンに関しては「打ちなさい」と薦めることはありませんでしたが、「あなたが子宮頸がんを経験されたから、親子なので、なおさら心配でしょう。打つことは間違いではないと思いますよ。」と説明して下さいました。それだけではなく、「あなたも一緒に打っておいた方がいいですよ。」と言われたのです。「子宮頸がんになったのに必要なんですか?」と聞いたところ、「何度でもHPVに感染する可能性はある。」と言われたことに驚きました。

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子宮頸がん検診を受けたら「異常なし!」もう検診は受けなくて良いの? >

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娘にはHPVワクチンがどのようなものなのか、そして、子宮頸がんがどんな病気か、さらにこのタイミングで「実は私、子宮頸がんだったのよ。」と初めて「がん」という言葉を使って、自分の罹患経験を娘に伝えました。

娘は驚いたとは思うのですが、それをあまり出さないように気を遣ったのか、意外と「あー、そうなんだ……」という反応でしたね。
そして、「検診を受けて、たまたま初期に見つかったから、今、こうして元気でいられるんだけど、私の娘だから体質的には似ていて、もしかしたら子宮頸がんになるリスクは高いかもしれない。子宮頸がんは女性であれば、誰もがかかる可能性がある病気なの。あなたには同じような思いをして欲しくないな…ワクチンを打つことで子宮頸がん予防をして欲しいと思っているけれど、あなたはどう思う?」と、娘の気持ちも尊重したかったので、本人の意思も確認しました。

子宮頸がんの原因についてもっと知る >

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中見出し:装飾  娘と一緒に考えた子宮頸がんに罹患した際のリスク、負担

母親が子宮頸がんの経験者ということで娘も自分事として捉えたこともあり、接種をする決め手になったのかもしれません。結局、親子で一緒にHPVワクチン接種*をしようということになり、主治医の先生のところに行きました。

娘のミライを考えたときに、HPVに感染するリスクや子宮頸がんに罹患した際の身体的・精神的・社会的リスクを、「予防できるものは、可能な限り予防する」ように持っていくのも、私が、親としてできる娘への愛情の形かなと思いました。私の場合は、特に、経験したからこそ、娘に「予防しよう」という決断ができたのだと思いますが、それは人それぞれ。考え方に違いがあるのも当然だとも分かっています。

*稲沢さんは自費接種です。接種費用は自費になりますが、27歳以上の方でHPVワクチンを接種していない人は医師と相談の上、接種をすることが可能です。詳しくは専門医(婦人科・産婦人科など)にご相談ください。46歳以上の方の接種は推奨しないとするガイドラインもあります。

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大切なことは、娘の考え方を尊重しながら、娘と対話を重ねたこと。
そして分からないこと、迷いが生じたときには専門家(私の場合は、産婦人科の主治医の先生)に相談することだと思いました。HPVワクチン接種も子宮頸がんの定期検診も「自分のミライを作るのは今の自分の選択だよ。」という母から娘へのメッセージかもしれません。

「STORY」カバーモデルヘの挑戦。そして、今も定期的に計画するたくさんの旅。どちらも体も心も子宮頸がんを乗り越えて、取り戻せた幸せな日常です。

「STORY」カバーモデルヘの挑戦。そして、今も定期的に計画するたくさんの旅。どちらも体も心も子宮頸がんを乗り越えて、取り戻せた幸せな日常です。

娘の最初の婦人科検診は、緊張しているだろうと思い、私はできるだけ明るく振る舞いました。「病院の後、ランチ、何食べようか?」なんて話ながら、娘との日常のお出かけのように過ごしたのを覚えています。

稲沢朋子さん | 子宮頸がん体験談語り

あれから時が経ち、娘は25歳で結婚しました。
娘には子宮頸がん検診についてはもちろん、女性特有の婦人科系の病気や婦人科検診についても定期的に娘には、「可能な限り受けた方がいいよ!身体の中身は自分じゃ見えないし、分からないから、健康であることを確認するためにも定期検診大事だよ!」と伝えています。娘には、これからも、ずっとずっと健康で、元気にいて欲しい。それが私の何よりの願いです。

中見出し:装飾  経験したからこそ伝えたい「子宮頸がん予防」の大切さ

以前、子宮頸がんの話題がたまたま出たときに、ある男性が「それって、性病でしょ?」と言っていて。これだけ子宮頸がんという言葉を聞くようになっても、そういう認識で片付けられてしまうことにすごくショックを受けたんです。ヒトパピローマウイルス(HPV)は男女関係なく、性経験があれば、誰しもが感染する可能性のあるウイルスであること、子宮頸がんはきちんと理解することで予防や早期発見に繋がるがんであるにも関わらず、まだまだこのような間違った認識で、恥ずかしいから、忙しいから…と、病院に行くのに二の足を踏んでしまう人もいるのが現実ですよね。

稲沢朋子さん | 子宮頸がん体験談語り

日本では性の話がオープンにしづらく、ましてや親子で性の話をするというのはなかなか難しい。グレーにしておきたい部分でもあります。でも、どうかSTORY世代のママ達も「うちの子にはまだ関係ない」と思わずに、一度、親子で子宮頸がんについて、HPVワクチンと20歳を過ぎたら2年に1度の定期検診での予防について、一緒に学ぶつもりで話す時間を持つことをオススメします。

検診やワクチン接種はスケジュール調整して、予約して、病院に行って…と忙しい毎日の中でやり繰りしないといけないので、つい後回しになりがちですが、健康であることより大切なことはないとがんを経験したからこそ強く実感しています。

HPVワクチン接種についてもっと知る >

子宮頸がんの検診についてもっと知る >

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お子さんの命を、ミライを守るためにも、親から子へ、コミュニケーションを深めていくことで、予防への第一歩になると私は信じています。

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子宮頸がん予防について娘にはどう伝えたら良いの? >

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高橋幸子先生 | 埼玉医科大学病院 産婦人科 助教 日本産科婦人科学会産婦人科専門医

親子での対話が、ミライにつながる。一緒に考える子宮頸がん予防

監修 高橋幸子先生
埼玉医科大学病院 産婦人科 助教
日本産科婦人科学会産婦人科専門医

「あかちゃんはどうやってできるの?」早いお子さんなら2〜3歳くらいから聞かれることがあります。「あなたが生まれてくるために必要だった”子宮”という大切な臓器があってね。そして、守る方法があるんだよ。」

子どもが思春期に入っても、こんな会話がお子さんの自己肯定感を高め、自分の身体、性について語り合いやすい、トラブルがあった時に相談しやすい環境を作ることにつながります。

子宮頸がん予防は、10代から始めることが可能です。自分の身体を守ること、健やかに生きていく方法を、親子で話すことはとても大切ですね。子宮頸がんについて、HPVワクチンのこと、検診について、不安や疑問があれば、私たち専門医を訪ねてきてください。