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子宮頸がん用語集
子宮頸がん用語集

監修:上田豊先生(大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師)
<2023年4月1日更新>

あ行


いけいせい
異形成:軽度異形成(CIN1)・中等度異形成(CIN2)・高度異形成(CIN3)


細胞が「現状ではがんとは言えないががんに進行する確率が高い状態(前がん病変)」や「悪性・良性の境界にある状態(境界悪性)」であることを指します。病変の程度により、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)に分類されます。国際的には、上皮の中に異型細胞が存在する、これら一連の病変は、子宮頸部上皮内腫瘍(Cervical Intraepithelial Neoplasia,略してCIN)といいます。

※ただし、国際的な規約の変更に伴い、“異形成” 、“上皮内がん”、“CIN”という表現は使用されなくなる傾向にあります。

参考:日本婦人科腫瘍学会.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん 治療ガイドライン第2版(2016年)

表:上皮細胞 | 正常→性交渉によるHPV感染(多くの場合、ウイルスは自然に排除され正常に戻る)→約10%が持続感染(多くの場合、ウイルスは自然に排除され正常に戻る)→高度異形成(がんに進まないものもある)→上皮内がん(がんに進まないものもある)→がん化(浸透)| 正常なほど - 消失しやすい ~ がん化にいくほど - がん化しやすい

以下参考に作図:
・笹川 寿之 臨床と微生物 2009; 36(1): 55-62.
・病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 141.
・日本婦人科腫瘍学会.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん 治療ガイドライン第2版(2016年)


いやくひんふくさようひがいきゅうさいせいど
医薬品副作用被害救済制度


医薬品(病院・診療所で処方されたものの他、薬局等で購入したものも含む)を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度です。
救済給付の請求に関しては、医薬品医療機器総合機構(PMDA)にお問い合わせください。

参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品副作用被害救済制度」


か行


こうりすくがたHPV(ひとぱぴろーまういるす)
高リスク型HPV(ヒトパピローマウイルス)


HPVはがんになるリスクとの関連から、子宮頸がんになるリスクの高い型のことを「高リスク型HPV」と呼んでいます。
HPVには、200種類以上の型があり、子宮頸がんの原因となる「高リスク型HPV」の代表は16型と18型で、HPVによる子宮頸がんの原因の約65%を占めています。※1
その他、子宮頸がんの原因となるHPVとして、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、66型、68型などがあります。※2

※1 OnukiM et al. Cancer Sci. 2020; 111: 2546-2557.
※2 Choi YJ et al. J Gynecol Oncol. 2016; 27: e21.

こるぽすこーぷしん
コルポスコープ診


コルポスコープ診は、腟拡大鏡を用いた検査のことです。
細胞診に比べ、より子宮頸部を詳しく見ることができます。病気があると疑われる部分が見つかれば、組織を一部採取して顕微鏡で診断します。組織の検査をして初めて、がんか、がんになる前の状態かがわかります。

コルポスコープ(膣拡大鏡)| クスコ(膣鏡)

さ行


じょうひないがん
上皮内がん(CIN3)


がん細胞が臓器の表面をおおっている上皮にとどまって、その下の組織に広がっていないがんのことです。子宮頸部にできた上皮内がんの場合、自然に治癒することもありますが、進行して内部組織に広がると子宮頸がんになります。検診で見つけることができれば、早期の治療(円錐切除術など)で子宮頸がんへの進行を予防することができます。

参考:日本婦人科腫瘍学会.患者さんとご家族のための 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん 治療ガイドライン第2版(2016年)

表:上皮細胞 | 正常→性交渉によるHPV感染(多くの場合、ウイルスは自然に排除され正常に戻る)→約10%が持続感染(多くの場合、ウイルスは自然に排除され正常に戻る)→高度異形成(がんに進まないものもある)→上皮内がん(がんに進まないものもある)→がん化(浸透)| 正常なほど - 消失しやすい ~ がん化にいくほど - がん化しやすい

以下参考に作図:
・笹川 寿之 臨床と微生物 2009; 36(1): 55-62.
・病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 141.
・日本婦人科腫瘍学会.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん 治療ガイドライン第2版(2016年)

せんがん
腺がん


腺組織とよばれる上皮組織から発生するがんです。胃、腸、子宮体部、肺、乳房、卵巣、前立腺、肝臓、膵臓(すいぞう)、胆のうなどに発生します。

参考:国立がん研究センターがん情報サービス用語集


は行


べせすだしすてむ
ベセスダシステム


ベセスダシステムは細胞診の判定に用いる分類表のことです。
この分類表をもとに細胞判定をし、その後どのような検査を行うべきか決めていきます。

※従来、日本では「細胞診クラス分類」が使われてきましたが、今はベセスダシステムが用いられています。

ベセスダシステム 2001 準拠
子宮頸部細胞診報告様式の理解のために

べセスダシステム 2001 準拠 子宮頸部細胞診報告様式の理解のために |【扁平上皮系】| 結果:①陰性(NILM)、推定される病理診断:非腫瘍性所見,炎症、従来のクラス分類:Ⅰ,Ⅱ、運用:異常なし - 定期検査 | 結果:②意義不明な異型扁平上皮細胞(ASC-US)、推定される病理診断:軽度扁平上皮内病変の疑い、従来のクラス分類:Ⅱ~Ⅲa、運用:要精密検査 - ①HPV検査による判定が望ましい。陰性:1年後に細胞診、HPV併用検査。陽性:コルポスコピー、生検 ②HPV検査非施行6カ月以内細胞診検査 | 結果:③HSILを除外できない異型扁平上皮細胞(ASC-H)、推定される病理診断:高度扁平上皮内病変の疑い、従来のクラス分類:Ⅲa~b、運用:要精密検査 - コルポスコピー、生検 | 結果:④軽度扁平上皮内病変(LSIL)、推定される病理診断:HPV感染軽度異形成、従来のクラス分類:Ⅲa、運用:要精密検査 - コルポスコピー、生検 | 結果:⑤高度扁平上皮内病変(HSIL)、推定される病理診断:中等度異形成高度異形成上皮内がん、従来のクラス分類:Ⅲa,Ⅲb,Ⅳ、運用:要精密検査 - コルポスコピー、生検 | 結果:⑥扁平上皮がん(SCC)、推定される病理診断:扁平上皮がん、従来のクラス分類:Ⅴ、運用:要精密検査 - コルポスコピー、生検 | 【腺細胞系】| 結果:⑦異型腺細胞(AGC)、推定される病理診断:腺異型または腺がんの疑い、従来のクラス分類:Ⅲ、運用:要精密検査 - コルポスコピー、生検、頸管および内膜細胞診または組織診 | 結果:⑧上皮内腺がん(AIS)、推定される病理診断:上皮内腺がん、従来のクラス分類:Ⅳ、運用:要精密検査 - コルポスコピー、生検、頸管および内膜細胞診または組織診 | 結果:⑨腺がん(Adeno-carcino-ma)、推定される病理診断:腺がん、従来のクラス分類:Ⅴ、運用:要精密検査 - コルポスコピー、生検、頸管および内膜細胞診または組織診 | 結果:⑩その他の悪性腫瘍、推定される病理診断:その他の悪性腫瘍、従来のクラス分類Ⅴ、運用:要精密検査 - 病変検索

「ベセスダシステム 2001 準拠 子宮頸部細胞診報告様式の理解のために」:日本産婦人科医会 資料より

従来使用していた細胞診クラス分類

従来使用していた細胞診クラス分類:クラス-Ⅰ,判定-正常 | クラス-Ⅱ,判定-異常細胞を認めるが良性 | クラス-Ⅲ,判定-悪性を疑うが判定できない | クラス-Ⅲ,判定-(a)悪性を少し疑う。軽度・中等度異形成を想定。このクラスから5%程度にがんが検出される | クラス-Ⅲ,判定-(b)悪性をかなり疑う。高度異形成を想定。このクラスから50%程度にがんが検出される | クラス-Ⅳ,判定-きわめて強く悪性を疑う。上皮内がんを想定する | クラス-Ⅴ,判定-悪性。浸潤がん(微小浸潤がんを含む)を想定する

日本臨床細胞学会編『細胞診用語解説集』1996より作成​

へんぺいじょうひがん
扁平上皮がん


扁平上皮とよばれる、体の表面や食道などの内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織から発生するがんです。口の中、舌、のど、食道、気管、肺、肛門、外陰部、腟、子宮頸部などに発生します。

参考:国立がん研究センターがん情報サービス用語集


や行


よぼうせっしゅけんこうひがいきゅうさいせいど
予防接種健康被害救済制度


予防接種を受けたことで健康被害が生じ、かつその健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定した際に、市区町村(自治体)により給付が行われる制度です。申請に必要となる手続き等については、予防接種を受けられた時に住民票を登録していた市区町村にご相談ください。

参考:厚生労働省ホームページ「予防接種健康被害救済制度について」


監修 上田 豊 先生
大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師

1996年、大阪大学医学部卒業。2018年から大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学・講師。婦人科がんの治療に携わりつつ、子宮頸がん予防の啓発に取り組む。日本産科婦人科学会:専門医・指導医、日本婦人科腫瘍学会:専門医・指導医、社会医学系専門医・指導医、日本疫学会:上級疫学専門家。






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