TOP > 子宮頸がんワクチン
Close Mobile Navigation
HPVワクチンの接種
HPVワクチンの接種

監修:上田豊先生(大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師)
<2023年4月1日更新>


子宮頸がん予防のHPVワクチンって?



HPVワクチンは、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。子宮頸がんのほとんどは、主に性交渉によって感染するHPVが原因のため、感染予防としてのワクチン接種が大切です。HPVは、性交渉の経験がある女性なら誰でもかかる可能性があります。
また、子宮頸がんの中には検診で見つかりにくいがんもあるため、できる限りウイルスに感染する前のワクチン接種が大切です。


ワクチン接種と検診は両方とも必要?



ワクチン接種と検診は役割が違うため、どちらも受けることが重要です。
まず「1次予防」としてHPV感染を防ぐためのワクチン接種があり、「2次予防」としてがんになる前の段階やがんの初期に発見するための定期的な検診があります。

表:正常→性交渉→HPV感染→前がん病変(※がんになる前の状態)→子宮頸がん | 正常→性交渉にいく前の段階で、HPVワクチン接種によるウイルス感染予防(1次予防)が重要 | 前がん病変(がんになる前の状態)・子宮頸がん(がんの初期)の段階で検診による早期発見(2次予防)が重要

公費(自己負担なし)でのHPVワクチン接種について



HPVワクチンは定期接種の対象となっているため、対象年齢の女性なら公費(自己負担なし)で接種することができます。日本で対象となる年齢は、小学校6年生~高校1年生相当です。また、過去に定期接種の機会を逃した方も、同じように公費でワクチン接種することができる制度もあります。

定期接種対象者
2023年度に小学校6年生~高校1年生相当の女の子

2023年度に
小学校6年生~高校1年生相当の女の子

小6、中1、中2、中3、高1

標準的な接種時期は中学校1年生

キャッチアップ接種対象者
H9年度生まれ~H17年度生まれの女性(1997年4月2日~2006年4月1日生まれ)かつ、過去にHPVワクチンの合計3回の接種を完了していない方

H9年度生まれ~
H17年度生まれの女性

1997年4月2日~
2006年4月1日生まれ

かつ、過去にHPVワクチンの合計3回の接種を完了していない方


H17年度生、 H16年度生、 H15年度生、 H14年度生、 H13年度生、 H12年度生、 H11年度生、 H10年度生、 H9年度生

キャッチアップ接種は2025年3月末まで

※このほか、平成18・19年度生まれの女性は、通常の接種対象(小学校6年生から高校1年生相当)の年齢を超えても、令和7(2025)年3月末まで接種できます。

※厚生労働省『HPVワクチンのキャッチアップ接種に関するリーフレット』より作成



チェック 住民票のある市区町村(自治体)からのお知らせをご確認ください。

チェック 過去に受けた接種回数や時期により、接種方法が異なる場合があります。


できるだけ母子健康手帳を確認・持参して、市区町村や医療機関に相談してください。


定期接種やキャッチアップ制度の年齢には当てはまらないけど、HPVワクチンを接種することはできるの?


HPVワクチン接種を受けるとき



子宮頸がんという病気やその予防方法(ワクチン接種、検診)について、不安や疑問がある場合は事前に医師に相談しましょう。
HPVワクチンは、その種類や接種時の年齢により、2回もしくは3回の接種が必要です。
接種のスケジュールや、新型コロナウイルスワクチンなど、ほかのワクチンとの接種間隔についての詳細は、医師にご確認ください。


ワクチン接種を受ける前の確認



チェック 定期接種・キャッチアップ接種制度の対象者の方は、自治体から送付された子宮頸がん予防接種のお知らせ(予診票)を確認して、注意事項を読みましょう

チェック キャッチアップ接種対象の方は、できるだけ母子健康手帳を確認・持参して、市区町村(自治体)や医療機関に相談してください

チェック 体調が良くないときは接種を避けましょう


※子宮頸がん予防接種のお知らせ(予診票)がお手元にない場合など、予診票についてのお問い合わせは、住民票のある自治体に問い合わせましょう。


ワクチン接種の流れ



あらかじめ、ワクチン接種の予約を行った病院で医師と面談します(問診)。もし、他のワクチン接種の予定がある場合にはこの時に伝えるようにしましょう。
接種する部位をアルコール消毒してから、筋肉内注射をします。
普通は座った状態で接種しますが、横になった状態で接種することも可能です。
慣れていない方や不安な方は、医師に相談しましょう。

接種する部位をアルコール消毒してから、筋肉注射をします

【ワクチン接種が済んだら】

接種した後30分くらいは、病院で背もたれのあるイスなどに座って安静にします。また、接種した部位は清潔に保つようにしましょう。加えて、強くこすったり、もんだりしないようにしてください。
次回の接種日も考えておくと良いでしょう。

接種した後30分くらいは、病院で背もたれのあるイスなどに座って安静にします

【注意】


接種した日から入浴はできますが、接種当日は激しい運動はさけてください。
1週間以内に体調がおかしいと感じることがあれば、すぐに病院へ連絡するようにしましょう。
万が一、健康被害が生じた場合は、予防接種健康被害救済制度もしくは医薬品副作用被害救済制度の対象となります。

HPVワクチン接種の注意事項



注射の痛みや怖いという気持ち、興奮などによるさまざまな刺激がきっかけとなって、めまいやふらつきを起こしたり、気を失うこと(失神)があります。これは、心拍数や血圧が下がることが原因で、通常は横になって安静にするだけですぐに回復します。注射が苦手な方や、怖いと感じている方は事前に医師へ伝えましょう。


接種後にめまいやふらつき、失神などが起きることがあります。転倒してけがをしないように、次の3つの注意事項を守ってください。

  1. 接種後に診察室から待合室に移動するときには、看護師や保護者の方に腕をもって付き添ってもらってください。
  2. 接種後30分程度は、背もたれやひじ掛けのあるイスなど、体重をあずけられるような場所で待っていてください。
  3. 待っている間は、なるべく立ち上がることを避け、座ってください。

また、一般的にワクチンを接種すると、接種した部位が赤くなったり腫れたりすることがあります。これは、体の中でワクチン成分に対する反応が起こるための症状で、通常は数日程度で治まります。
長く続くなど、気になる症状がある場合は医師に相談してください。

監修 上田 豊 先生
大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師

1996年、大阪大学医学部卒業。2018年から大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学・講師。婦人科がんの治療に携わりつつ、子宮頸がん予防の啓発に取り組む。日本産科婦人科学会:専門医・指導医、日本婦人科腫瘍学会:専門医・指導医、社会医学系専門医・指導医、日本疫学会:上級疫学専門家。




このページをシェアする