
監修:上田豊先生(大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師)
<2023年4月1日更新>
検診の結果が「要精密検査」だった
子宮頸がん検診の結果は、「精密検査不要」か「要精密検査」のどちらかです。
ただし、「要精密検査=がん」というわけではありません。より詳しく検査するために、検診結果が来てから1か月以内を目安に必ず医療機関を受診することが大切です。また「精密検査不要」の場合でも、2年に1回は定期的ながん検診を受けるようにしましょう。
子宮頸がん検診と精密検査の違い
検診と精密検査では、検査方法が異なります。
検診は、医師による問診に加えて、異常な細胞の程度を推測するための細胞診が行われます。
精密検査は、検診で「要精密検査」となった方を対象に、前がん病変やがんの診断のために実施されます。そこでは、コルポスコープ(腟拡大鏡)による組織診が行われます。また、ウイルスの型を調べるハイリスクHPV検査が行われることもあります。
子宮頸がん検診 ― 細胞診
子宮頸がん検診は、子宮の入り口部分の表面をやわらかいヘラやブラシで軽くこすって細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査です(細胞診)。判定方法の一つとして、「ベセスダシステム」が広く用いられています。
精密検査 ― コルポスコープ(腟拡大鏡)による組織診
精密検査では、コルポスコープと呼ばれる拡大鏡を使って、子宮頸部の状態を詳しく見ます。※1
そして、疑わしい部分の組織を採取し(生検)顕微鏡での観察によってより詳しい診断を行います(組織診)。※2
精密検査 ― ハイリスクHPV検査
細胞診の結果によっては、感染しているヒトパピローマウイルス(HPV)の種類を確認するための検査を行うこともあります。これは、特に子宮頸がんを発生する危険性が高い種類のHPVに感染しているかどうかを調べる検査です。※3
細胞診と同じく、子宮頸部の表面をブラシなどでこすって採取した細胞から調べることができます。※4
★自治体によって実施している検査の内容が異なる場合があります。詳しくは住民票のある自治体にお問い合わせください。
★検診の結果や検査の内容について気になることや不安なことは、医師に相談しましょう。
※1
公益財団法人東京都予防医学協会ホームページ「精密検査について」
※2
国立がん研究センターがん情報サービス「コルポスコープ診・組織診」
※3
国立がん研究センターがん情報サービス「子宮頸がんの検査」
※4
日本産科婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識と正しい理解のために」Part 4 HPV検査を含めた子宮頸がん検診について(2022年)
監修 上田 豊 先生
大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師
1996年、大阪大学医学部卒業。2018年から大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学・講師。婦人科がんの治療に携わりつつ、子宮頸がん予防の啓発に取り組む。日本産科婦人科学会:専門医・指導医、日本婦人科腫瘍学会:専門医・指導医、社会医学系専門医・指導医、日本疫学会:上級疫学専門家。