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10代以上の女性の方へ:もっと知りたい子宮頸がん予防 10代以上の女性の方へ:もっと知りたい子宮頸がん予防

監修:上田豊先生(大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師)
<2023年4月1日更新>

そもそも子宮頸がんって?

子宮頸がんは20代後半から増加し、若い世代でも発症するがんです。
ただし、自分の選択によっては防げる可能性があります。

この病気を予防するためには

セクシャルデビュー(初めての性交渉)前のHPVワクチン接種が大切です。
セクシャルデビュー後であっても、可能な限り早くのHPVワクチンの接種と、20歳以上の方は、2年に1度の検診を受けることで防げる可能性があります。

関連Q&A:アイコン 関連Q&A
セクシャルデビュー(初めての性交渉)後に、HPVワクチンを接種しても意味はないの?

10代以上の女性

子宮頸がんってどんな病気?

子宮頸がんってどんな病気?

子宮頸がんは、子宮の入り口にできるがんのこと。主にウイルスの感染が原因です。初期には症状がほとんどないため、自覚症状が現れることなく進行していくという特徴があります。

子宮頸がんって?

子宮頸がんの原因ってなに?

子宮頸がんの原因ってなに?

子宮頸がんのほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。HPVは主に性交渉によって感染し、女性の子宮頸がんだけでなく男性でもかかる病気の原因にもなります。

子宮頸がんの原因

子宮頸がんの症状とは?

子宮頸がんの症状とは

子宮頸がんは通常、初期にはほとんど自覚症状がありませんが進行するに従って生理以外の出血(不正出血)、性行為の際の出血などが現れてきます。自覚症状が出たときには、すでに進行していた、ということもあります。

参考:日本婦人科腫瘍学会.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん 治療ガイドライン第2版(2016年)

子宮頸がんの症状

子宮頸がんの治療

子宮頸がんの治療

治療方法は、年齢や他にかかっている病気、がんの進行具合(ステージ)によって異なります。
進行の状況によって、手術、放射線療法、抗がん剤(化学療法)のいずれか、もしくは複数の治療法を組み合わせて行います。

子宮頸がんの治療

子宮頸がんの予防方法

子宮頸がんには2つの予防方法があります。

1. HPVワクチンの接種

HPVワクチンの接種

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐ予防接種です。
HPVワクチンは、その種類や接種時の年齢により、2回もしくは3回の接種が必要です。
以下の対象者の方は、接種は公費(自己負担なし)で受けることができます。接種スケジュール等、詳細は医師にお尋ねください。

定期接種対象者
2023年度に小学校6年生~高校1年生相当の女の子

2023年度に
小学校6年生~高校1年生相当の女の子

2007年4月2日~
2012年4月1日生まれ

小6 / 2011年度生、中1 / 2010年度生、中2 / 2009年度生、中3 / 2008年度生、高1相当 / 2007年度生

標準的な接種時期は中学校1年生

※高校1年生相当(高1相当):平成19年度生まれ(誕生日が2007年4月2日~2008年4月1日)の方。
また、平成19年度生まれの方で、定期接種対象の年齢を超えての公費(自己負担なし)での接種提供についてこちらをご覧ください

キャッチアップ接種対象者
H9年度生まれ~H17年度生まれの女性(1997年4月2日~2006年4月1日生まれ)かつ、過去にHPVワクチンの合計3回の接種を完了していない方

H9年度生まれ~
H18年度生まれの女性

1997年4月2日~
2007年4月1日生まれ

かつ、過去にHPVワクチンの合計3回の接種を完了していない方

H18 / 2006年度生、H17 / 2005年度生、 H16 / 2004年度生、 H15 / 2003年度生、 H14 / 2002年度生、 H13 / 2001年度生、 H12 / 2000年度生、 H11 / 1999年度生、 H10 / 1998年度生、 H9 / 1997年度生

キャッチアップ接種は2025年3月31日まで

※平成19年度生まれ(誕生日が2007年4月2日~2008年4月1日)の方で、公費(自己負担なし)での接種提供についてこちらをご覧ください

※平成19年度生まれ(誕生日が2007年4月2日~2008年4月1日)の方について
定期接種対象の年齢(小学校6年生~高校1年生相当)を超えても、2025年3月31日まで公費(自己負担なし)で接種することができます。

※厚生労働省『HPVワクチンのキャッチアップ接種に関するリーフレット』より作成

ワクチン接種について

HPVワクチン接種の注意事項

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HPVワクチンの副反応って?
セクシャルデビュー(初めての性交渉)後に、HPVワクチンを接種しても意味はないの?

2. 子宮頸がん検診

子宮頸がん検診

子宮頸がんは、初期の自覚症状が出にくく、自分では気付きにくい病気です。そのため、定期的な検診によりがんになる前の段階やがんの初期に発見することが大切です。
また、HPVワクチンを接種していても、20歳を過ぎたら2年に1度、子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。
20歳以上の女性が子宮頸がん検診を公費で受けられるよう取り組んでいる自治体もあります。

検診について
上田豊先生 | 大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師

20~30代の女性でもかかる子宮頸がんについて知ってほしい

監修 上田豊先生
大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師

今、自分が「がん」にかかることなど想像もできないと思います。
でも、20~30代でもかかるのが子宮頸がん。
その”きっかけ”は、がんにかかる数年以上前から起こり始めています。
だからといって、心配しすぎることはありません。HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診の受診で、そのほとんどを予防できます。 
若いみなさんだからこそ、是非知っていただきたい、とても大事な情報です。

子宮頸がんQ&A

子宮頸がんに関するお悩み・よくある質問のなかで特に10代以上の女性が気になる内容を ピックアップしました。

過去に、接種後に生じる可能性のある「多様な症状」等について、十分に情報提供できない状況にあったことから、積極的な勧奨(個別に接種のお知らせを送る取り組み)を一時的に差し控えるよう、厚生労働省が自治体へ通知を出していました。

令和3(2021)年11月の専門家の会議で、以下の条件を踏まえたうえで、積極的な勧奨を再開することが決まりました。

引き続きHPVワクチンの安全性の評価を行っていくこと
接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の診療実態の継続的な把握や体制強化を行っていくこと
都道府県や地域の医療機関等の関係機関の連携を強化し地域の支援体制を充実させていくこと
ワクチンについての情報提供を充実させていくこと


また、HPVワクチン接種の積極的な勧奨が行われなかった時期(平成25年から令和3年の間)に定期接種の対象であった方々の中には、ワクチン接種の機会を逃した女性がいます。このような方々に公平な接種機会を確保する観点から、あらためて接種の機会が設けられることになりました。

公費(自己負担なし)でのHPVワクチン接種について >

参考:厚生労働省ホームページ「HPVワクチンに関するQ&A」

コンドームによる予防効果は他の性感染症に比べると限定的だと考えられています。
なぜならHPVは、外陰部や肛門など、コンドームでは守れないところにも潜むウイルスだからです。
また、手や指から感染することもあるので、HPV感染を予防するにはHPVワクチンの接種が大切です。

HPVワクチンの接種 >

※Winer RL, et al. N Engl J Med. 2006; 354: 2645-2654.

絶対に子宮頸がんになるわけではありません。
HPVに感染した女性のうち約90%はウイルスが自然に検出されなくなりますが、ウイルスが持続的に感染した場合には、子宮頸がんへ進行する人も出てきます。

子宮頸がんが進行するしくみ >

子宮頸がんへ進行する割合 | 女性:10,000人 → 感染期:6,000人(6割以上の女性)- 数週間~2年(自然治癒90%)→ 前がん期:60人(感染者の1~6%)- 数年~10年(自然治癒5%,不顕性持続感染数%)→ 発がん期 - 浸潤がん:6人(感染者の0.1%)- 数年

笹川 寿之 臨床と微生物 2009;36(1):55-62. より改変

片方だけでは不十分です。ワクチン接種と検診は役割が違うため、どちらも受けることが重要です。まず「1次予防」としてHPV感染を防ぐためのワクチン接種があり、「2次予防」として前がん病変の段階やがんの初期で発見のための定期的な検診があります。

HPVワクチンの接種 >

子宮頸がん検診 >

表:正常→性交渉→HPV感染→前がん病変(※がんになる前の状態)→子宮頸がん | 正常→性交渉にいく前の段階で、HPVワクチン接種によるウイルス感染予防(1次予防)が重要 | 前がん病変(がんになる前の状態)・子宮頸がん(がんの初期)の段階で検診による早期発見(2次予防)が重要

セクシャルデビュー後であっても、HPVワクチンを接種することはできます。
子宮頸がんは性交渉によるHPV感染が原因で起こりますが、そのHPVにはたくさんの「型」(タイプ)があります。
性交渉の経験があっても、まだワクチン接種で予防できるHPV型に感染していなければ、予防の効果が期待できます。また、ワクチン接種で予防できるHPV型の一部に感染していたとしても、感染していない他の型に対しては予防の効果が期待できます。

HPVワクチンの接種 >

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