子宮頸がんの基本的な治療方針は、切除できる限局性の場合(I期、II期)は手術(必要に応じて術後補助療法)、骨盤への浸潤などがあり、切除できない場合(III期、IV期)は同時化学放射線療法*、遠隔転移がある場合は化学療法**が選択されます。
子宮頸がんステージ別治療法
*:完全に治すこと(根治)を目的とした放射線療法とともに、化学療法(抗がん剤治療)を行うものです。抗がん剤で放射線治療の効果を高めて、骨盤内の再発率を低下させ、さらに全身に広がっている可能性のある見えないがん細胞を抗がん剤で治療することで根治率の向上が期待できます。
**:抗がん剤を用いてがん細胞を破壊する治療法です。
日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん 子宮体がん 卵巣がん 治療ガイドライン 第2版. 金原出版, 2016.
子宮頸がんはステージが進むと、子宮の一部の切除にとどまらず、放射線療法や化学療法などの治療が必要になることがあります。それに伴い、治療による影響も大きくなる可能性があります。
子宮頸がんの前がん病変(異形成・上皮内がん)は、子宮の一部分のみを切除する、「円錐切除術」で取り除くことができます。
円錐切除術では、子宮が温存できるため、妊娠や出産の可能性を残すことができます。
実際、日本では年間約10,000人の女性が、円錐切除術を受けています1)。
ただし、手術の後も、流産や早産などを含む後遺症に悩まされることがあります2)、3)。
広汎子宮全摘出術では、子宮全体を幅広く切除するため、身体への負担が大きく、術後合併症が起こりやすくなります4)。
治療費用のほか、退職や転職、長期療養による収入減少、労働損失も大きいとされています。
※下記は、広汎子宮全摘出術の後遺症の例です。