Q&A

子宮頸がんや子宮頸がん予防ワクチン、尖圭コンジローマなどについて、よくある疑問にお答えします。

子宮頸がんについて

Q1.子宮頸がんと子宮がんはどう違うの?

A1.

子宮にできるがんには、子宮の入り口部分(子宮頸部)にがんができる子宮頸がんと、子宮の奥の方(子宮体部)にできる子宮体がんの2種類があります。この2つのがんは、がんになりやすい患者さんのタイプも、がんの原因も違います。
子宮体がんは一般的には50歳以上の閉経後の女性に多く、ホルモンバランスの異常や肥満、未妊娠、糖尿病などが病気の発症と関係が深いと考えられています。
これに対して、子宮頸がんは20〜30代の女性に増えており、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が大部分の頸がんの発症に関係しています。
ふつう子宮がんというと子宮頸がんをさすことが多いようです。

Q2.子宮頸がんの原因は何?

A2.

子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染で、このウイルスは主に性交渉によって感染します。HPV感染からがんに進行する要因には、喫煙などがあります。

Q3.子宮頸がんはどんな症状があるの?

A3.

子宮頸がんは、初期はほとんど症状がありません。病気がある程度進行してから、

  • 性交渉のときに出血する
  • 茶色や褐色のいつもとは違うおりものが増える
  • 生理に関係のない出血がある
  • 下腹部や腰が痛む

などの症状が現れます。
そのため、少しでも早く子宮頸がんに気づくためには、症状がなくても定期的な子宮頸がん検診を受けることが大切になります。

HPV感染について

Q4.HPVは子宮にしか感染しないの?

A4.

HPVには様々なタイプがあります。子宮頸がんの原因となるHPVは女性の外陰部、腟、子宮頸部、男性の亀頭、陰のう、尿道、肛門などにも感染します。また、口腔や、喉の奥の粘膜にも感染するといわれています。

Q5.HPVの「高リスク型」と「低リスク型」って何?

A5.

HPVには100種類以上の「型」があります。そのうち感染が持続した場合にがんへと進行していく可能性があるウイルスを「高リスク型」、感染部にイボをつくるウイルスを「低リスク型」と分類しています。
「高リスク型」には15種類程度あり、その中でも子宮頸がんの原因として多い型はHPV16型、HPV18型です。

Q6.HPV感染をコンドームで防ぐことはできないの?

A6.

HPVは会陰部や肛門などコンドームではカバーできない広い範囲に存在します。また、手や指を介して感染することもあるとされており、コンドームでの感染予防はあまり期待できません。

Q7.HPVは子宮頸がん以外の病気を起こすこともあるの?

A7.

HPVには100種類以上の「型」があります。例えば、HPV6、11型は尖圭コンジローマという陰部にイボができる病気を発症します。さらに、この尖圭コンジローマを妊娠中に母親が発症していた場合、 ごくまれですが出産時に産まれてくる赤ちゃんにもHPV6、11型が産道で感染し、のどにイボができる「再発性呼吸器乳頭腫症」という病気になることがあります。
その他にも、外陰がん、腟がん、陰茎がん、肛門がん、中咽頭がんなどの原因になることがあります。

子宮頸がん予防ワクチンの接種について

Q8 ワクチンが接種出来ない人は?

A8.

以下の人はワクチンを接種できません。詳しくは医師にご相談ください。

  • 明らかに発熱している方(通常は37.5℃を超える場合)。
  • 重い急性疾患にかかっている方。
  • ワクチンの成分(詳しくは医師にお尋ねください)によって、過敏症(通常接種後30分以内に出現する呼吸困難や全身性のじんましんなどを伴う重いアレルギー反応を含む)をおこしたことがある方。
  • その他、かかりつけの医師に予防接種を受けないほうがよいと言われた方。

また妊娠の可能性のある方、妊娠されている方も医師にご相談ください。

Q9.ワクチンが接種出来ない人は?

A9.

ワクチンを接種したからといって子宮頸がんの発症を100%予防できるわけではありません。
子宮頸がんの予防ワクチンは、子宮頸がんの原因となる高リスク型の約15種類のHPVのうち、もっとも原因となりやすいHPV 16型とHPV 18型に対する免疫をつくらせるものです。ですから、16型と18型に対しては予防できますが、子宮頸がんの予防ワクチンに含まれない型のHPVウイルスに感染し、それが原因となってがんが発症することもあります。
また、すでにHPV16型、18型に感染している場合は、ワクチンの効果はありません。すでに発症している前がん病変に対する治療効果もありません。
そのため、ワクチン接種後も子宮頸がんの定期検診を受けることは必要です。ワクチンの有効性が持続する期間はまだはっきりしていません。また、ワクチンの追加接種が長期間の感染予防に必要になるかどうかはっきりとしたな判断基準は設定されていません。
そこで、ワクチン接種とがん検診で殆どの子宮頸がんを予防できることが期待されます。

Q10.ワクチンを打てば、絶対に子宮頸がんにはならないの?

A10.

子宮頸がんの原因となるHPVは、性交渉の経験のある人なら誰でも一生に一度は感染する可能性のあるごくありふれたウイルスです。HPVの感染自身は決して特別なものではありません。
また、HPVに感染してもその殆どが自然になおり、ごく一部の持続的に感染が続く女性が子宮頸がんを発症すると言われています。またHPV感染だけでは、すぐがんにならないことも知られています。
しかし、子宮頸がんは性交渉によるHPV感染が原因で起こるということから、「性交渉が頻繁な人がなりやすい」という誤った認識がされることがあります。
こういった誤解は患者さんを苦しめます。ひとりでも多くの女性が子宮頸がんについて正しく認識することが大切です。

Q11.すでに性交渉の経験があると、ワクチンを打っても無駄なの?

A11.

HPVにまだ感染していなければ、ワクチンに含まれる複数の型のHPVに対して予防効果が期待できます。また、ワクチンに含まれる一つの型のHPVに感染していても、感染していない別の型への感染予防が期待できます。HPVウイルスは殆どの女性で自然に排除され感染がなおりますが、ワクチンは再感染を予防します。ただし、既に起きている長期間持続している感染をなおすことはできません。

Q12.妊娠中でもワクチンを打てるの?

A12.

妊娠中のワクチン接種については安全性と有効性が確立していないため、避けてください。また、3回の接種途中で妊娠が分かった場合には、出産後まで接種を延期してください。
妊娠が分かった時点でまず担当の先生と相談し、今後の接種タイミングについて決めてください。

Q13 子宮頸がん予防ワクチンは何種類あるの?

A13.

子宮頸がん予防ワクチンは2種類あります。
ひとつは子宮頸がんの原因となるHPV16型、18型の2つのHPV感染を予防するワクチンです。
もうひとつはHPV6、11、16、18型の感染を予防するワクチンです。

Q14 子宮頸がん予防ワクチンは複数回接種するのですか?

A14.

子宮頸がん予防ワクチンは半年間に3回接種することにより十分な予防効果が得られるワクチンです。必ず3回接種してください。
接種は初回、1ヵ月後もしくは2ヵ月後(種類によって異なる)、6ヵ月後と3回接種します。
必ず同じ種類のワクチンを3回接種してください。

Q15 子宮頸がん予防ワクチンの接種で不妊になることはありますか?

A14.

子宮頸がん予防ワクチンの接種によって不妊になったという報告はありません。

ワクチン接種後について

Q16 ワクチンの副反応※が心配です。※副作用のこと

A16.

ワクチンを接種した後に、注射した部位がはれたり痛むことがあります。これは、体の中でウイルス感染を防ぐ仕組みが働いているために起こる症状で、通常は数日程度で治ります。
【ワクチン接種による主な副反応】

注射部位の痛み(85.2%)・赤み(32.0%%)・腫れ(28.3%)

頻度1〜10%未満
発熱・注射部位のかゆみ・出血・不快感、頭痛
頻度1%未満
注射部位のしこり、手足の痛み、筋肉が硬くなる、下痢、腹痛、白血球数増加
頻度不明
無力症、寒気、疲労、倦怠感、血腫、失神、浮動性めまい、関節痛、筋肉痛、おう吐、吐き気、リンパ節症、蜂巣炎

重い副反応として、まれに、アナフィラキシー反応などの過敏症反応、ギラン・バレー症候群、血小板減少症紫斑病、急性散在性脳脊髄炎などが現れることがあります。

Q17.子宮頸がん予防ワクチン接種後の注意点は何ですか?

A17.

接種後に、めまいやふらつき、失神などが起こることがあるため接種後すぐに帰宅せず、30分程度は接種した医療機関で安静にしていてください。

尖圭コンジローマについて

Q18.あまり聞いたことがないけど、患者さんは多いの?

A18.

日本では、1年間に約39000人(3万9千人)が発症していると考えられています。発症年齢は20~30代が最も多いと報告されています。
高橋聡 日本臨床 2009; 67(1): 153-156

Q19.尖圭コンジローマになるとどんな症状があらわれるの?

A19.

直径1~3ミリ前後のイボが性器や肛門のまわりにできます。痛みやかゆみなどの症状はほとんどありません。
徐々に大きくなり、大きくなるとカリフラワーやニワトリのトサカのような状態になることもあります。

Q20.尖圭コンジローマは治療すれば、すぐに治るの?

A20.

尖圭コンジローマの治療は、くすりによる治療と、手術やレーザーによってイボを取り除く外科的な治療があり、患者さんの状態に応じて治療方針が決められます。コンジローマの大きさや場所によって違いますが、治療には数ヶ月以上かかることもあります。尖圭コンジローマは再発しやすい病気なので、治療後も少なくとも3ヵ月は通院して、再発していないかどうかを確認する必要があります。

Q21.尖圭コンジローマになると、妊娠や出産に影響はあるの?

A21.

妊娠している女性が尖圭コンジローマを発症すると、出産するときに産道で赤ちゃんが尖圭コンジローマのウイルス(ほとんどがHPV6型、11型)に感染してしまう可能性があります。
このため、腟内にコンジローマが多発している場合や非常に大きなコンジローマでは帝王切開が必要になることがあります。生まれてきた赤ちゃんがHPVに感染した場合、ごくまれですがのどにイボができる「再発性呼吸器乳頭腫症」という病気になることがあるからです。
再発性呼吸器乳頭腫症を発症した赤ちゃんは、一生を通して声がかれたりイボが大きくなることで呼吸困難になり、命にかかわることもあります。イボを取り除くため、手術を繰り返すことも稀ではありません。(子宮頸がん予防ワクチンには再発性呼吸器乳頭腫症に対する予防効果は認められておりません。)

Q22.尖圭コンジローマと子宮頸がんで原因になるHPVの種類が違うの?

A22.

子宮頸がんの発症に関係するHPVはがんを引き起こす高リスク型(HPV16型、18型)であるのに対し、尖圭コンジローマに関係するHPVは良性のイボを発症する低リスク型(HPV6型、11型など)に分類されており、種類が異なります。
[主に関係するHPV型]

  • 尖圭コンジローマ  HPV 6型 11型
  • 子宮頸がん、腟がん、外陰がん  HPV 16型 18型 など
Q23.私が尖圭コンジローマになった場合、彼も感染している可能性はあるの?

A23.

あなたが尖圭コンジローマになった場合、パートナーもHPVに感染している可能性があります。
現在、パートナーに症状が出ていなくても、ウイルスには潜伏期間があるため、ウイルスが感染している可能性はあります。
勇気を出してパートナーに伝え、ふたりの病気として治療していきましょう。

公費助成

Q24 公費助成の内容を教えてください。

A24.

2010年11月に、国が2010年度補正予算で接種費用を助成することを決定し、現在、多くの自治体で中学1年生(13歳相当)~高校1年生(16歳相当、現在は2年生も含む)の女児を対象とした公費助成が、実施されています。この事業は2012年3月までとなりますが、その後の継続については、現在検討されています。公費助成の対象や助成金額などの詳細についてはお住まいの自治体にお問い合わせください。



監修:久留米大学医学部 産婦人科学講座 主任教授 嘉村 敏治先生

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